産後の理想の過ごし方について
妊娠中、ママは身体と心の変化に対応するので精一杯です。「出産」がゴールのように感じてしまう人も多いと思います。
しかし、出産後は身体の回復を待つことなく、すぐに赤ちゃんと一緒の新たな生活がはじまります。
妊娠中から産後の生活をイメージし準備しておくことが大切です。
ここでは育児の具体例を挙げていきます。ぜひ、産後の生活やサポート方法について考えるきっかけにしていってください!
産後1ヶ月は最も重要
産後1ヶ月は特にママの心身の負担の大きい時期です。
産後の身体は本当に人それぞれ。
お産がスムーズでも、妊娠中から切迫早産などで安静をしていた方は体力が追いつかず、産後に思うように動くことはできません。
分娩が長時間だった方や、産後の出血が多く貧血気味の方、妊娠高血圧症候群の方などは、産後の回復に時間を要します。
また会陰切開や帝王切開後の傷が痛み、思うように動けない方もいるでしょう。
産褥期(分娩後約6〜8週間)は、まずは母体の回復を優先しながら、家族で協力して育児のスタートを切っていくことが大切です。
産後、最も優先すべきは「ママの気持ちと身体」です。
ママの心身が健全な状態でなければ、赤ちゃんも家族も健やかには過ごせません。
まずパートナーや周囲の人は、産後ダメージを受けているママの身体の回復とメンタルケアに努め、育児や家事をどのように分担していくのかを具体的に考える必要があります。
「名もなき育児」とは?
では育児を分担しよう!と思っても、そもそも育児とは具体的にどのようなものがあるのでしょう?
パッと思い浮かぶものは、授乳・ミルク、おむつ交換、沐浴、抱っこなど。
産後の授乳は最低でも8回程度、多い人は20回近く授乳しています。
混合栄養の方は、授乳のあとにミルクの準備・片付けも必要です。
おむつ交換は1日10回以上が普通ですし、沐浴は、準備・片付け・保湿・着替えまでがセットです。
抱っこは時々すればよいのではなく、泣くたび、場合によっては1日中抱っこのこともあります。
これだけでも大変…と思うかもしれませんが、これ以外にも「名もなき家事」ならぬ「名もなき育児」がたくさんありますので、以下に例を挙げます。
名もなき育児(例)
- 赤ちゃんの安全確認(呼吸の観察、体温チェック、機嫌、寝る姿勢の確認・調整)
- 生活環境整備(衣類・体温調整、寝具調整、温湿度管理、換気、安全管理)
- 感染対策
- 生活リズムづくり(時間管理、光の調整、散歩、寝かしつけ、など)
- 情緒の発達を促す遊び(ふれあい遊び、スキンシップ、声かけ、歌を歌う、など)
- 泣き止ませる、あやす
- 授乳などの生活記録
- 排尿・排便チェック(回数・性状、必要時は綿棒浣腸などの処置)
- 沐浴の準備・片付け
- 着替え(1日数回)
- 保湿・スキンケア(1日数回)、肌トラブルチェック
- 鼻・耳掃除
- ミルクの準備・片付け
- おむつゴミの処理
- 健診や予防接種のスケジュール管理、母子手帳や予診表の記載
- かかりつけ医、救急受診先のチェック
- 保険証、医療証、診察券などの管理
- 緊急時の対応について確認
- 受診の必要性の判断
- お出かけの準備・片付け(日焼け止め・虫除け塗布、帽子、靴下、着替え・おむつなどの準備)
- 育児用品のリサーチ、購入
- 育児用品(消耗品)の管理・補充
- 子連れで出かけられる場所のリサーチ
- 保活(保育園リサーチ・見学、書類記入、職場への連絡など)
- イベントの準備・管理(里帰り、お宮参り、お食い初めなど)
- 上の子のお世話
まだこれはほんの一部で、このほかにもたくさんの「名もなき育児」があると思います。
これらはどれも「ママしか担当できないこと」ではありません。夫婦で共有することが大切です。
2人とも同じように担当できるということは信頼関係につながりますし、お互いにやることがわかっていると効率よく助け合えますよね。産後の生活を考える際には、これらの細かな育児についても目を向けるようにしてくださいね。
完全分担制も一つの方法ですが、どちらかが体調不良になった場合などに備えて、基本的に赤ちゃんのお世話に関する部分は、2人とも担当できる状態になっておくことが大切です。
「直接母乳」以外は周囲が積極的にサポートを
育児の中でママしか担当できないもの、それは授乳です。
しかし、ひとことで授乳と言っても、母乳を直接与える(直接母乳)、ミルクを哺乳瓶で与える、絞った母乳(搾乳)を哺乳瓶で与えるなど、さまざまな方法があります。
この中で、ママしかできないものは「直接母乳」と「搾乳」です。
仮に完全母乳で育てていても、授乳以外の育児やそのほかの家事を他の人に担当してもらうことで、ママの負担を軽減することができます。
授乳に関してパートナーがサポートする例をいくつか挙げてみますので、参考にしてください。
【完全母乳の例】
- 赤ちゃんが泣いたらパパがおむつをチェック
- ママが授乳
- パパが寝かしつけ(別室でママを休ませる など)
【混合栄養の例】
- 赤ちゃんが泣いたらパパ or ママがおむつチェック
- ママが授乳(その間にパパがミルク準備)
- ママがミルクを飲ませて寝かしつけ(パパが哺乳瓶などの後片付け)
【完全ミルクの例】
- 時間交代制:数時間ごとに交代
- 役割分担制:ミルクを作る、おむつ交換、ミルクを飲ませる、寝かしつけ、片付ける、などを分担する
産後ケアや外部サポートも選択肢のひとつ
「家事」とは、ママだけが行うものでしょうか?
そんなことはありません。パパでも、それ以外の家族でも可能です。
便利な家電を利用したり、外部のサポート(産後ドゥーラやヘルパーさん、宅食サービスなど)も近年多く提供されています。
両親や義両親との関係は人それぞれですので、ここでもママの気持ちを最優先するようにしてください。
自分の両親でも、喧嘩になってしまう・高齢だから気を遣う、と消極的な方もいますし、義両親に少しサポートしてもらう程度がちょうど良い、という方もいます。
周囲のサポートしたいという気持ちはありがたいですが、あくまで夫婦として何が自分たちに合っているかかをよく話し合って選択するようにしましょう!
外部のサポートに関しては、事前に登録・申請をしていないとスムーズに利用できない場合があります。
行政・民間いずれも妊娠中からリサーチしておき、利用する可能性があれば登録だけでもしておくことをオススメします。
また、産後家族の支援が受けられない方や、退院後も専門家の支援を受けたい方には、産後ケアもおすすめです。
ショートステイ(日帰り)から利用でき、必要に応じて数週間宿泊できる施設もあります。
専門家の支援を受け、心身の回復を図りながら、ママのペースで育児技術を取得することができます。市区町村と提携し、助成が受けられる施設もあります。
ほとんどが事前登録制のため、こちらも妊娠中に準備しておきましょう。
特に産後1ヶ月は、可能な限りママが家事をしなくて良い環境を整えてください。
無理して体調を崩してしまったママを何人も見たことがあります。頑張ればできそうでも、頑張る必要はないし、ここで無理をすると後に響きます。
産後、自分のサポートにお金をかけることを躊躇ってしまうママは多いです。
ぜひパートナーや周りの人が積極的に環境づくりを作ってくださいね。
産後、ママがどのような心身の状態になるのかは誰にもわかりません。
思ったよりも元気だなと感じる方もいるかもしれませんし、思った以上のダメージを負う方もいるでしょう。
特に産後1ヶ月はママが心身ともに無理せず、安心して過ごせる環境を整えることが大切です。
産後の生活や育児に関する夫婦間のギャップをなるべく少なくし、どのような状況にも臨機応変に対応できるよう、夫婦でよく話し合い、準備をしておきましょうね。