陣痛中の過ごし方とサポート方法【前編】
出産が近づくと、赤ちゃんに会えることが楽しみな反面、陣痛を乗り越えられるのか、無事に出産できるのか。
とても不安な気持ちになる人がほとんどだと思います。
陣痛ってどんな感覚なんだろう、どのくらいで出産になるのかな?
スムーズな出産にするためにできることはないのか、痛みを和らげる方法はあるの?など
色々気になることはありますよね。
ここでは主に初産婦さんにおける、陣痛が始まってから出産までの流れと、過ごし方についてお伝えします。これから出産を迎える方たちの不安が、少しでも軽くなったら嬉しいです。
前編・後編と2回に分けて、陣痛中の過ごし方とパートナーのサポート方法についてお伝えしていきます。
分娩の所要時間
お産は、分娩第Ⅰ期から第Ⅳ期までに分けられます。
第Ⅰ期:陣痛開始〜子宮口が全開大(10cm)になるまで
第Ⅱ期:子宮口全開大〜赤ちゃんが誕生するまで
第Ⅲ期:赤ちゃん誕生〜胎盤が出るまで
第Ⅳ期:産後2時間まで
分娩各期の平均所要時間は、初産婦と経産婦で異なります。
初産婦の場合
第Ⅰ期:10〜12時間
第Ⅱ期:2〜3時間
第Ⅲ期:5〜15分
経産婦の場合
第Ⅰ期:4〜6時間
第Ⅱ期:1〜1.5時間
第Ⅲ期:5〜15分
見て分かる通り、分娩第Ⅰ期・第Ⅱ期の時間がそれぞれ半分程度になります。
1人目の分娩が早かった経産婦さんは、早めに産院へ向かう必要があるかもしれません。
あらかじめ、上のお子さんの預け先や産院へ向かうタイミングについて身近な人や病院に相談しておくようにしてくださいね。
お産の全体像をみたとき、最も時間が長いのは分娩第Ⅰ期です。
バースプラン(どんな出産にしたいか)を考える際、生まれる瞬間だけでなく、最も長い分娩第Ⅰ期を、夫婦でどのように過ごしたいかを具体的に考えられると良いと思います。
陣痛の流れ
陣痛の始まり〜子宮口3cm頃
陣痛とは「10分以内、または1時間に6回以上の痛みを伴う規則的な子宮収縮」のことです。
陣痛が始まったかも…と思ったら、特に初産婦さんは、まず1〜2時間様子をみて、
前駆陣痛ではないか確認しましょう。
陣痛の始まりの頃の痛みは、「生理痛の重い感じ」や「お腹を下すときの痛み」など下腹部痛として表現する産婦さんが多いです。
陣痛の間隔はまだ8〜10分程度で、発作時間も数十秒程度です。
本陣痛になると、時間経過とともに痛みは強く、陣痛間隔は短くなり、痛みのあるとき(発作)に会話や動作をすることが難しくなってきます。
この時期は、陣痛のお休みの時間(間欠)に力を抜いて、リラックスして過ごすことが大切です。発作がきても、なるべく吐くことを意識した深呼吸をしましょう。
余裕のあるうちに合間で食事を取ったり、破水していなければゆっくりお風呂に入ってみるのも良いですね。
もちろん、女性だけではなくパートナーの役割も大切です!
パートナーは出産中にいろいろなサポートができますよ。
ここでのパートナーの役割
- 軽食や飲み物の準備、サポート
- 背中や腰をさする
- 一緒に深呼吸を行う
- リラックスできる環境を整える
- 陣痛の間隔や強さを共有する
など
いざ陣痛が来てしまうと、何をしていいのか分からないと思うので、この辺りも立ち合い出産が可能であればきちんと話し合いをしておいた方がいいでしょう。
子宮口4-5cm頃〜子宮口7-8cm頃
お産には、ゆっくり進行する時期(潜伏期)と、ぐんぐんスピードに乗って進んでいく時期(活動期)があります。
一般的に、初産婦では子宮口が4-5cm頃になると進行のペースが速くなる方が多いです(加速期)。
痛みのフェーズが変わるため、発作時に苦しい表情になる、全身に力が入る、汗をかく、呼吸が乱れる、声が出る、などの様子がみられるようになります。痛みの場所も下腹部から腹部全体、腰にまでおよび、赤ちゃんが徐々に下降することによる変化が感じられるようになります。陣痛間隔も徐々に5〜7分程度に狭まってきます。
この時期は、強くなる陣痛に対応するのに精一杯で、余裕がなくなります。
会話や移動はもちろん、水分・栄養補給を行うことに消極的になってしまう産婦さんも多いです。間欠時も次の陣痛に備えてしまうので、心身の緊張状態が続き、疲労感も強まりやすい状態です。
体力の消耗を防ぎ、赤ちゃんに酸素を有効に届けるためには、深呼吸が大切です。
発作時も「フー」とゆっくり吐く呼吸に集中し、身体の力をなるべく抜くように心がけてください。
間欠時はだらんと脱力し、少量頻回を意識して、水分・栄養補給を行うようにしましょう。
姿勢によって陣痛の感じ方が変わる産婦さんも多いです。
四つ這いや座位、あぐら、歩行、バランスボールなど、体勢を工夫しながら一番楽な姿勢を探してみましょう。
また、陣痛時に腹部や腰、背中を温めたり、指圧などのマッサージをすることで痛みが緩和される場合があります。
助産師のアドバイスを受けながら、立ち会い者に有効なサポートをしてもらうことも重要ですね。
ここでのパートナーの役割が必要となっていきます。
以下のようなサポートを積極的にしてあげるといいでしょう。
ここでのパートナーの役割
- 間欠時の栄養・水分補給の補助
- 移動や姿勢を変える際のサポート
- 汗を拭く、うちわで仰ぐ
- 一緒に深呼吸を行う
- 疼痛部位の指圧やマッサージ
- 励ましの声かけ
など
このように、出産は女性だけでなく家族のサポートがあってこそ乗り越えることができます。
少しでも落ち着いて赤ちゃんの誕生を迎えるためにも、お産の流れを知っておくと良いでしょう!