【マタニティ生活】適切な体重増加を目指そう
妊娠による身体の変化は多くありますが、その中でも多くの妊婦さんが悩むのは体重管理です。
妊娠後の体重増加や体型の変化は、赤ちゃんを健やかに育てるため、そしてママ自身の出産のリスクを減らすための大切な「身体づくり」です。
ここでは、妊娠全期間を通した体重増加の目安と、注意点についてお伝えします。
適切な体重増加、身体づくりをして、出産に備えていきましょうね。
妊娠中の体重増加量の目安
BMI(Body Mass Index)はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。
成人ではBMIが国際的な指標として用いられています。
【BMIの計算式】 BMI = 体重(kg) ÷[身長(m) × 身長(m)]
妊娠前のBMIが、日本肥満学会の基準でやせ(18.5未満)では切迫早産、早産、および低出生体重児分娩のリスクが高くなります。
また肥満(25以上)では、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、死産、巨大児、および児の神経管閉鎖障害のリスクが高いことがわかっています。
妊娠中の体重は、増えすぎ・増えなさすぎの両方に注意が必要で、適切な体重増加をしていくことが大切です。
妊娠中の推奨される体重増加量は、日本産科婦人科学会から以下のように提示されています。
※「増加量を厳格に指導する根拠は必ずしも十分ではないと認識し、個人差を考慮したゆるやかな指導を心がける」産婦人 科診療ガイドライン編 2020 CQ 010より
※体格分類は日本肥満学会の肥満度分類に準じた
(参照:日本産婦人科学会)
体重増加曲線とは
体重増加のペースについては、国立成育医療研究センターが10万人の妊婦のデータより、妊娠前のBMI別に4つの「妊娠中の体重増加曲線」を作成しています。
妊娠初期は多くの妊婦さんがつわりで食事の摂取・管理が難しい状況です。
体重増加を意識するのはつわりが落ち着いてからで大丈夫です。
体重増加曲線を参考にしながら、身体づくりを意識していけると良いですね。
妊娠中の体重増加曲線
例:妊娠前のBMIが18.5以上25未満の場合
(参照:国立成育医療研究センターHP「妊娠中の体重増加曲線」)
妊娠中の体重管理の方法
適切な食事
一般的な女性の推定エネルギー摂取量(kcal/日)は、「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」の中で、年齢と身体活動レベル別に目安が示されています。
妊婦さんの場合は、これに加えて初期(〜16週)、中期(16〜28週)、後期(28週〜)で、それぞれ50kcal、250kcal、500kcalの付加エネルギーが必要となります。(表1)
妊娠後期になると、ホルモンの影響と増大する子宮の圧迫により消化機能が低下するため、胃のむかつき、嘔気などの症状で食事摂取が難しくなる妊婦さんもいます(後期づわり)。
消化の良い食べ物を選んだり、一回の食事量を減らして間食を取り入れるなど、食事の内容や摂取方法を工夫してみるのも良いですね。
また妊娠中は、体重増加を防ぐために糖質制限や朝食を抜くなどの偏った食事をすることは不適切です。
赤ちゃんの成長と母体の健康のためには、さまざまな栄養素をバランスよく摂取することが大切です。
ただし、妊娠糖尿病(GDM)や妊娠前のBMIが30を超える妊婦さんは主食の量や食事内容など、個別の対応が必要になりますので、産院の栄養相談などで食事内容の相談をしてくださいね。
表1:妊娠中・授乳中のエネルギー摂取量の目安
(参照:日本人の食事摂取基準(2020 年版) 「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書
適度な運動
切迫流早産など妊娠中に医師の安静の指示がある場合を除き、妊婦さんが適度な運動をすることはとても大切です。
妊娠中の運動には、エネルギー消費による体重コントロール以外にも、筋力の維持や血行促進によるマイナートラブル予防、出産に向けた身体づくり、リフレッシュなど、身体的・精神的に多くのメリットがあります。
「運動」というと、筋トレやランニングなど、ハァハァ・ゼーゼーするハードな運動を想像する方もいるかもしれません。
しかし、妊娠中の運動は「笑って会話ができるくらい」の強度で十分なのです。
妊婦さんにおすすめの運動は、ウォーキングやマタニティビクス、スイミングなどの有酸素運動や、ヨガ、ストレッチなどです。
元々運動習慣のない妊婦さんは、いきなり長時間の運動をすると体を痛める可能性もありますので、無理のない範囲で少しずつはじめていきましょう。
医師の許可のもと、妊婦さん向けのクラスに参加するのも良いですね。
レコーディング
レコーディングとは「記録すること」です。
“レコーディングダイエット”という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、食事内容や体重を記録していくことは、体調管理にとても効果的です。
体重は浮腫や便秘など日内変動もありますので、その1回の数字に一喜一憂する必要はありません。
レコーディングの目的は、気付きを得ることです。
「今日は食べ過ぎちゃったかも…明日はたくさん動こうかな」、「この食べ物は胃もたれしやすいな」、「野菜が少ないかも」など、自分で食事や体調の変化に気が付き、調整する機会をつくることが大切です。
携帯のメモや日記に記録するのも良いですし、ただ毎日体重計に乗ってみるだけでも構いません。
毎日ではなく週に数回程度でも良いので、ストレスに感じない程度に、身体の変化を確認していけると良いですね。
※注意
妊娠中はダイエットを行うわけではありません。
体重増加にネガティブな気持ちを持っている方や、几帳面な性格の方にとっては、レコーディングは逆効果になりますので行う必要はありません。
妊娠による身体の変化はとてもダイナミックで、妊婦さん自身も大変戸惑うものです。
適切な体重増加は母子にとって大切な身体づくりですが、数々のマイナートラブルや食事摂取への不安など、妊婦さんには多くのストレスを伴います。
パートナーが積極的に食事・運動などの身体づくりに一緒に取り組んでくれたり、身体の変化にポジティブな声かけをしてくれることは、とても心強く支えになります。
ぜひ妊婦さんに寄り添い、伴走する気持ちで妊娠期間を過ごしてくださいね。
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