陣痛中の過ごし方とサポート方法【後編】
出産が近づくと、赤ちゃんに会えることが楽しみな反面、陣痛を乗り越えられるのか、無事に出産できるのか。
とても不安な気持ちになる人がほとんどだと思います。
陣痛ってどんな感覚なんだろう、どのくらいで出産になるのかな?
スムーズな出産にするためにできることはないのか、痛みを和らげる方法はあるの?など
色々気になることはありますよね。
ここでは主に初産婦さんにおける、陣痛が始まってから出産までの流れと、過ごし方(後編)についてお伝えします。これから出産を迎える方たちの不安が、少しでも軽くなったら嬉しいです。
まだ前編をお読みでない方は、ぜひ前編から読んでみてくださいね!
陣痛の流れ
子宮口8-9cm頃
子宮口が全開大に近づいてくると、だんだんお尻の方が押されていきみたい感覚が出てきます。
しかし、まだいきむ段階ではありません!
子宮口が全開大しないうちにいきんでしまうと、赤ちゃんに負担がかかったり、残っている子宮口が浮腫んで開きにくくなってしまうことがあるからです。
肛門や膣の付近に痛みや圧迫感を感じるので、人によってはテニスボールやゴルフボールなどで肛門付近を圧迫すると痛みが和らぐことがあります。
呼吸法を取り入れながらいきみ逃しをしていきましょう。
陣痛間隔は3-4分程度と短くなってきますが、なるべく間欠時はリラックスして、短時間でも身体の力を抜くようにします。
この頃になると、もうすでに半日近く陣痛と向き合っているので、産婦さんは気力も体力も限界に近づきます。
「こんなに頑張っているのにまだ生まれないの?」「いつまで続くの?」「もうやめたい」「辛い」など、弱音を吐いてしまうこともあるかもしれません。
産婦さんが苦しそうな様子を見て、パートナーも辛い気持ちになり、一緒にいることが苦しくなるかもしれません。この時期こそ、産婦さんにとって側で支えるパートナーの存在がとても大切なのです。
産婦さんの辛い気持ちを受け止め、側で支えながら一緒にこの時期を乗り越えましょう。
ここでのパートナーの役割
子宮口全開大の頃(第Ⅱ期)
子宮口が10cm開くことを全開大と言います。
子宮口が全開大になったら、もういきんでも大丈夫です。
また、この頃になると赤ちゃんも出口の方に下がってきているので、いきみを逃そうと思っても自然に力が入ることが多いです。
子宮口が10cmになると「やっといきめる!」「もう少しで赤ちゃんに会える!」とゴールが見えてくるので、8-9cmの時よりも前向きな気持ちになれる産婦さんも多いです。
しかし、ここから先の産道が赤ちゃんにとっては最も狭い場所です。
力任せにいきむのではなく、しっかり深呼吸をして赤ちゃんに酸素を届けながら、陣痛に合わせて力を入れることが大切です。
陣痛の力だけで十分な場合は、必要以上にいきまずに赤ちゃんが生まれる場合もあります。
助産師や医師の助言を得ながら、赤ちゃんと産婦さんにとって最も負担の少ない方法で出産できると良いですね!
ここでのパートナーの役割
- 深呼吸の声かけ
- いきみやすい姿勢の補助
- 水分補給
- 疼痛部位のマッサージ、肛門付近の圧迫
など
初産婦さんの場合、子宮口が全開大して約2〜3時間で赤ちゃんが誕生しますよ!
分娩第Ⅲ期(胎盤娩出〜 第Ⅳ期(産後2時間まで)
赤ちゃんが誕生した後は胎盤が自然に剥がれ、外に出てきます。
胎盤が剥がれること自体に痛みはありませんが、子宮が収縮していくお腹の痛みと、胎盤が出てくる違和感は感じるかもしれません。
胎盤が出た後は、赤ちゃんが通った産道(頸管、膣壁、会陰)が傷ついていないか確認し、出血している部分があれば、医師が縫合などの処置をします。
処置の際は局所麻酔を使用することが多いですが、少し痛みを感じることもあるかもしれません。なるべく処置がスムーズに終わるよう、深呼吸をして力を抜くように心がけましょう。
産後2時間は、横になって安静に過ごします。
産後の子宮は不安定なため、子宮の収縮(戻り)、悪露の量、傷の状態などのチェックが必要です。それらが問題なければ、少しずつ起き上がって食事やトイレなど行うようにします。
お産直後はとても疲れているはずですが、興奮して目が冴えてしまうという方も多いです。
これから始まる育児に備えて、赤ちゃんのお世話以外はなるべく横になり目を閉じて休むようにしてください。
出産後の周囲への連絡なども、ママの負担にならないようパートナーが調整できると良いですね。
立ち会い者の役割
コロナ禍でもちろん立ち合い出産が出来ない産院もありますが、近年は立ち会い出産を希望する夫婦はとても多いです。
しかし立ち会い出産とは、生まれる瞬間にそこにいれば良いというものではありません。
伴走者として、一緒に分娩に臨むことが大切です。
辛い陣痛も、信頼できるパートナーとなら乗り越えられるのです。
産婦さんに知っておいてほしいこととして、立ち会い出産はパートナーにとって、達成感、感謝、成長などのポジティブな効果もある一方で、無力感や不安、心配などのネガティブな感情を抱きやすい経験でもあります。
妻からのフィードバックが、パートナーの立ち会い後の気持ちに大きな影響を与えるとの報告もあります。
陣痛中は難しいかもしれませんが、産後にゆっくり出産を振り返って、してもらって嬉しかったことや、心強かったサポートなどをパートナーに伝える機会を持つことも大切です。
妊娠・出産を通して、より夫婦の信頼関係が深まり、一緒に育児のスタートを切ることが理想的ですね。
陣痛や出産に対する漠然とした不安は、出産までの流れや過ごし方を知り、備えることで軽減することができます。
妊娠・出産・育児は夫婦の共同作業です。
パパがママの最も良き理解者・パートナーとなるには、妊娠・出産・育児に関することを、同じ目線で一緒に学び、取り組むことが大切です。
ぜひ妊娠中から、出産・育児に向けた話し合いの場をたくさん設けて、夫婦や家族の絆を深める機会になれば良いなと思います。